夏休み中、息子の生活リズムが目に見えて崩れていった時期がありました。朝起きられない、声をかけてもゲームの画面から目を離さない、夕食の途中でもコントローラーを離したがらない——「これはただの夏休みの気の緩みなのか、それとももっと深刻な問題なのか」と不安になり、実際にWHOの定める基準や専門機関の情報を調べてみました。
今回は、その調査の過程で分かったことをウラどりしていきます。
「ゲーム障害」とは?WHOが正式に認定した経緯
「ゲーム障害(ゲーム行動症)」は、世界保健機関(WHO)が2019年の世界保健総会で、国際疾病分類の最新版「ICD-11」に正式に収載した、精神・行動の疾患の一つです。
単なる「ゲーム好き」「趣味に熱中している状態」とは区別される、医学的な診断基準を持つ状態として、国際的に認められたことになります。
日本では、神奈川県の久里浜医療センターが、ネット依存・ゲーム障害の治療において世界有数の専門機関として知られており、この分野の研究や情報発信をリードしています。
調べてみて印象的だったのは、ゲーム障害という概念自体が2019年に認定されたばかりの、比較的新しい医学的分類だということです。
「ゲームをたくさんする=すぐに病気」という単純な話ではなく、一定の基準を満たした場合にのみ該当する、明確な線引きがあるという点は、調べる前の漠然とした不安を少し和らげてくれました。
一方で、この診断名がまだ新しいだけに、専門家の間でも慎重な議論が続いていることも分かりました。
有病率の推計方法や調査手法をめぐって、研究者から異なる見解が示されているという指摘もあり、「ゲームをする時間が長い人はみんな病気だ」と短絡的に決めつけるような報道の仕方には注意が必要だという意見も見られます。
あくまで医学的な診断は専門家による総合的な判断のもとで行われるものであり、家庭での様子だけで「うちの子はゲーム障害だ」と決めつけないことも、調べていく中で大切だと感じたポイントです。
実際にWHOの基準と息子の様子を照らし合わせてみた
日本精神神経学会の解説によると、ゲーム行動症は、持続的または反復的なゲーム行動に加えて、次の4つの項目を満たす場合に診断されるとされています。
1つ目はゲームのコントロールができないこと(ゲーム時間を減らそうと思ってもできない状態)、2つ目は生活の中でゲームの優先度が非常に高くなっていること(仕事や勉強、家族行事よりゲームを優先し、ゲームを中心に生活が回っている状況)、3つ目はこうした行動によって学業・職業・家庭生活等で明確な問題が生じていること、4つ目は問題が起きているにもかかわらずゲームを続ける、あるいはエスカレートさせていることです。
さらに、こうした状態が長期間(目安として12カ月程度)継続していることも、診断の要件に含まれるとされています。
この基準に照らして息子の状況を振り返ってみると、確かに生活リズムの乱れは見られたものの、「学業に明確な問題が生じている」「12カ月にわたって続いている」というほどの深刻さではなく、夏休み特有の一時的な生活の乱れという範囲にとどまっていると判断できました。基準を具体的に知ることで、漠然とした不安が、ある程度冷静な状況判断に変わったのは、調べてみてよかった点です。
実際、新学期が始まって学校生活のリズムが戻ると、息子の生活も自然と落ち着いていきました。
振り返ってみると、あの時期は単に「長期休みでダラダラしていた」という、多くの家庭にありがちな状態だったのだと思います。
ただ、もし新学期が始まっても状態が改善しなかったら、あるいは学校を休みがちになるようなことがあれば、迷わず専門機関に相談しようと、当時から心に決めていました。
ゲームへの「のめり込み」に危険性はある?リスクを項目別に検証
生活リズムの乱れへの影響について
専門機関の解説では、ゲーム障害の影響として、昼夜逆転、遅刻・欠席、学業の成績低下などが多くの患者に見られると説明されています。
「少しゲーム時間が長いかな」という段階から、こうした深刻な状態へと進んでしまう境目を、家庭内だけで正確に見極めるのは簡単ではありません。
だからこそ、専門機関が示す具体的な基準を知っておくことには意味があると感じました。
家族関係への影響について
ゲーム障害が進行した場合の影響として、家族への暴言・暴力、引きこもりといった深刻なケースも報告されています。
もちろんこれは重度に進行した場合の話であり、多くの家庭にとっては縁遠い話に思えるかもしれませんが、「ゲームをやめさせようとすると激しく反発する」といった兆候が見られる場合は、早めに専門家に相談する価値があると、調べる中で理解しました。
家庭内だけでの対応の限界について
専門機関は、ネット依存・ゲーム依存は家族とのコミュニケーション次第で問題行動が悪化も改善もするとし、まずは家族が相談窓口を受診することを勧めています。
本人を頭ごなしに叱ったり、一方的にゲームを取り上げたりする対応は、かえって関係を悪化させる可能性がある点は、私自身、意識しておきたいと感じたポイントです。
結局、どう向き合えばいいのか
ここまで調べてみて感じたのは、「ゲームをたくさんする」ことと「ゲーム障害」との間には、明確な基準による線引きがあるということです。
多くの場合は、生活リズムの見直しや家庭内でのルール作りで対応できる範囲にとどまりますが、WHOが示す4つの基準に照らして「当てはまるかもしれない」と感じる状態が長期間続く場合は、家庭内だけで抱え込まず、専門機関に相談することが推奨されています。
家庭でできる対策
- ゲーム時間や生活リズムについて、頭ごなしにではなく、子供と一緒にルールを話し合う
- 「学業や日常生活に明確な問題が出ているか」を、感情的にならず客観的に確認する
- ゲームを無理に取り上げるのではなく、コミュニケーションを通じて関係性を保つ
- 気になる状態が長期間続く場合は、一人・一家庭で抱え込まず専門機関に相談する
- 久里浜医療センターなど、ネット依存・ゲーム障害を専門に扱う医療機関の情報を事前に確認しておく
気になる様子が続く場合は、まず家族だけでも精神保健福祉センターや専門の医療機関に相談することができます。本人が受診を嫌がる場合でも、家族の相談だけで対応の道筋が見えてくることもあります。
まとめ
ゲームへの「のめり込み」は、WHOが明確な基準を定めて医学的に位置づけている一方、その基準を知らないままだと、過度に不安になったり、逆に見過ごしてしまったりしがちです。
実際に基準を調べてみたことで、我が家の状況を冷静に見極めることができました。気になる様子があれば、まず基準を確認し、必要であれば専門機関に相談することをおすすめします。
目の前の子供の様子に一喜一憂するより、正しい知識を持って見守る方が、結果的に家族みんなが安心できるのだと、今回の一件を通して学びました。
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